不貞行為について損害賠償義務が免除されたとして勝訴した事例
弊所の弁護士が,担当した異例で,「被告と夫とのA期間の不貞行為について,本件誓約書により損害賠償義務が免除されたといえるか」という争点で勝訴した事案がありましたので,ご報告いたします。
(Aさんの言い分)
Aさんは,Bさんに対して夫と不貞行為をして夫と不貞行為に及んだという言い分です。
Bさんは,A期間についての誓約書を提出した(一種の「合意書」といえる。)。その誓約書の内容で,100万円の慰謝料を支払っていた。
(Bさんの言い分)
Aさんと夫は,婚姻関係が破綻していた。
本件誓約書について,A期間までの不貞行為については,被告の損害賠償義務が免除されたものである。
(弁護士のポイント!)
本件は,1回示談のようなことが行われているものの,その期間内の新たな不貞を主張して,損害賠償を請求しているように思われたが,他方,既に示談と見られる誓約書があったので,このこととの関係が問題となりました。蒸し返しとまではいえなくても,そのような色彩がある事案において,債務免除の趣旨を誓約書に読み込んだのは画期的な判断と思います。一般論として,不貞行為は複数回あり得ることであるので,一回,合意書を交わすと,それより前の損害賠償義務は免除される可能性もあり得ることを示すものと考えることもできる事例ではないかと思われます。(私見)合意書の作成にも,弁護士のアドバイスを受けられると良いのではないかと思います。
(画期的な判断!)
本件誓約書は,A期間において,Bから提出を受けたものであるところ,その内容として,Bは,Aに対し,Bが,A期間,夫との間において,継続して複数回の不貞行為を行った事実を認め,謝罪することが含まれているにもかかわらず,この不貞行為についてBがAに対して,損害賠償金を支払う旨は定められていない。他方,本件誓約書において,その作成後にBが夫と業務外で接触した場合は100万円を一括で払うことを約束する旨が定められている。
以上のような本件誓約書の内容によれば,Aは,本件誓約書により,本件誓約書の作成後にBに被告が夫と業務外で接触した場合は,100万円を一括で払うことをBに約束させる一方,Bと夫とのA期間までの不貞行為については,被告の損害賠償義務を免除したものというべきである。