不貞の求償請求に応じる必要はありますか。
不貞配偶者の責任(不貞相手からの求償)
Q 婚姻中ですが不貞行為をしてしまったため、配偶者から損害賠償請求をされています。不貞相手が配偶者に全額支払った後に求償請求をしてきましたが、応じる必要があるのでしょうか。
A 不貞が事実であるならば、金額をいくらとするかという問題はあるものの、ある程度の求償には応じる必要があると思われます。
不貞行為をした場合、不貞相手と不貞配偶者が不真正連帯債務関係となります。分かりやすくいうと連帯債務ということですね。(少なくとも自分持分を超える弁済をしないと返済を求めれません。)不真正連帯債務者の一方が自身の内部負担額(損害賠償責任の負担割合)を超えた部分については、他の不真正連帯債務者に求償することができます。弁済と相殺のみ絶対効という点も異なります。
内部負担額については過失割合によりますが、2分の1ずつと考えてよいでしょう。ただし、その連帯責任の範囲が異なる場合もありうるということには留意しなければなりません。東京高判昭和60年11月20日は「不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあり、不貞に相手方の責任は副次的なものとみるべき」としました。このように、不貞相手と不貞配偶者の賠償額に差異を設ける裁判例もみられはじめています。ただし、これは請求を減らすための論拠で、求償割合に変化を生じさせるかについては、不倫に詳しい弁護士の中には異論もみられるところです。