慰謝料支払い義務を負わない場合
不貞行為があった場合に、不貞行為の相手方が常に、慰謝料支払い義務を負うかというと、そうではありません。不貞行為の相手方が慰謝料支払い義務を負う理由は、婚姻共同生活の平和を害したことにあるため、不貞行為の時点ですでに婚姻共同生活の平和が存在しない場合、すなわち、婚姻関係がすでに破綻している場合には、特段の事情のない限り、慰謝料義務を負わないといわれている。
最高裁は、「配偶者ある者と肉体関係を持つことがその配偶者に対する不法行為となるのは、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的に保護に値する利益を侵害する行為だから、婚姻関係がすでに破綻している場合には、特段の事情のない限り、不法行為責任を負わない」としています。