今井絵梨子さん、山尾志桜里さんの不倫、どう受け止める?
朝日新聞で、中川郁子農林水産政務官、宮崎謙介衆院議員、中川俊直経済産業政務官、元SPEED今井絵理子自民党参院議員、民進党幹事長候補だった山尾志桜里の不倫をとりあげています。(10月9日付)中川氏はキスを路上でしている程度、宮崎氏は実質的に不貞行為があり議員辞職、中川氏も不貞行為がなかったとはいいきれず離党し事実上政界引退、山尾志桜里氏も不貞行為の認定は実質的には避けられないが本人は不合理な弁解に終始し衆院選に立憲民主党などのリベラル系無所属として共産党の支援なども受ける。
朝日新聞がとりあげているものをみると、実質不貞行為をしているとはいえないのは中川氏、実質不貞行為をしているが離党も議員辞職もしていないのが今井絵理子氏、議員辞職が宮崎氏、中川俊直氏は任期満了で事実上政界引退、山尾氏は当時の民進党を離党し、立憲民主系無所属として、共産党の支援を受けながら次期衆院選を目指す。
まず、政治家に求める資質と不倫は関係あるが24名、関係ないが17名と拮抗している様子でした。(とりあげられている声は女性のみで女性の意見が多いとみられます。論評関与の女性の登場者は13名、男性1名です。)
朝日新聞が示す属性からは特段特徴はうかがえないものの、関係ないとする女性の声は比較的50代以上、関係あるとするのは家族生活にコミットしている世代30、40代が多いように記事からはうかがえます。
朝日新聞の声で紹介されている40代の女性の声としては、政治家である前に人間としての資質が問われる。資質には個人の道徳観や倫理観も含まれる」との見解を紹介し政治家の資質にかかわると指摘がありました。特に、待機児童問題などの主張も表面的とみられかねない、との指摘や子育て世代をうたって訴えてきたことの説得力がないなど、障碍児を育てる今井絵理子氏、こどももいる山尾志桜里氏を念頭においた見解がありました。これに対して、男性の不倫はあまり問題にされないのに不公平との見解も示されています。もっとも、5人の議員のうち実質議員の資格を失ったのは男性(宮崎、中川氏)のみであり、かえって今井氏や山尾氏の方が優遇されているのではないかとの見解もあるでしょう。
これに対して、個人的な問題で関係ない見解もあり、半数にとどくか否かというところで意見は拮抗していて属性によっては誤差の範囲のアンケートのようです。
代表的には、職業と結びつけることについて、能力や理念があり、情熱があるのであればプライベートは問題とならないとの見解が多く、その方が有意義な人材を失うとの見解がみられました。たしかに特定の職務遂行について、その職務遂行に相応しい人があたるのが一番よいということになるかと思います。
考え方としては、効率性、生命倫理史上主義、個人主義があるという指摘がかつてありました。生命倫理史上主義という観点や個人主義から相手を傷つけていると考える場合は問題があると考えているものと考えられます。他方、フランスでは、料理人に求められるのは、うまい料理を出すことであり、人格が破綻していても何ら問題はないといわれるくらい、職業遂行とプライベートは別個とされています。ある意味では、効率性と自分自身で自分の行動を決める個人主義が重視されているのだと思います。1995年までフランス大統領を務めたミッテラン氏を朝日新聞はとりあげ、在任期間中の愛人問題について問われると、ミッテラン大統領は「それが何か?」と回答したエピソードを紹介するほか、現在のマクロン大統領夫人の年齢差など世間体にとらわれない実力主義、効率主義というもの、自己決定権を重視する個人の尊重がみられます。
もっとも、経営者的視点から、やはり、日ごろから支持している人が不貞をしていると残念に思ったとする見解もあるようです。
朝日新聞では、総括がされていませんが、日本の場合は、義理と人情が混ざり合っているところの不合理性は否定できないことと、いわゆるモノガミーという特定の価値観(交際相手はひとりまでという価値観。一夫多妻があるように、モノガミーも特定の価値観にすぎない)が倫理や道徳、感情的反発を招く場面が多く、それが政治家としてよりも、それ以前に、という議論に結びつけられているように思います。しかし、たしかに日本では民事法上不貞行為は不法行為になるので、道徳的に悪いことなのでしょうが、民事的には悪くても刑事処罰はなされない、民事と刑事の狭間にある行為です。現代風にいえば、モノガミー対ポリガミーとか、オープンリレーションシップという特定の価値観に左右されるところもあります。
時代の趨勢は自己決定権を重視する個人の尊重を中心に考えられているようにも思えますが、日本にはかつて姦通罪が存在したことから悪いことという意識は残影のように残っているようにも思われます。みなさんは、政治家の不倫をどのように受け止められますでしょうか。